ネーザルハイフローと人工呼吸器の違いは?~看護の視点編~

観察・患者対応
2025.07.21
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人工呼吸器とネーザルハイフローはどちらも呼吸を管理する医療機器です。しかし、目的や用途、患者に与える侵襲や介入すべきポイントが大きく異なります。今回は、仁呼吸器とネーザルハイフローの違いを「看護の視点」でまとめます。観察項目や患者さんに与える影響など、日々の看護に活用してみてくださいね。

1.ネーザルハイフローは呼吸を補助する機器

ネーザルハイフローと人工呼吸器の大きな違いとして、ネーザルハイフローは自発呼吸がなければ使用できません。喘息や軽度の呼吸不全などに対して、高流量酸素を投与し、呼吸を補助することで酸素化を改善します。

2.人工呼吸器は呼吸を代行する機器

 人工呼吸器は自発呼吸が困難な患者に対して、呼吸そのものを完全に代行したり、一部サポートしたりする機械です。気管挿管や気管切開カニューレなどを使用します。

3.日常生活への影響の違いは?

ネーザルハイフロー使用中は、会話や飲水・食事も可能です。座位や歩行などもでき、日常生活への影響が少なくQOLを維持したまま使用できます。

一方で、人工呼吸器では会話や経口での食事はできません。ベッド上安静が基本で活動制限が大きいです。

4.ネーザルハイフローの観察ポイント

・呼吸数や努力呼吸の有無

呼吸苦がネーザルハイフローによって改善されているのかを、観察します。

・鼻カニューレの位置ずれ、皮膚トラブルの観察

カニューレの装着が正しくできていないと、適切に高圧の流量が送られません.。また、カニューレの装着によって耳や鼻周りに皮膚トラブルが生じることもあるので、こまめに観察しましょう。

・痰の性状・排出状況

高流量をカニューレから流すので、適切に加湿加温する必要があります。痰が固くなっていないか、自力で排出できているのかなどを観察します。

・会話や食事の時の呼吸苦や誤嚥の有無

カニューレを装着しながら食事や会話ができますが、それによる呼吸苦や誤嚥のリスクもあります。体位を整えたり、食事の際はよく観察するなどして対策します。

5.人工呼吸器の観察ポイント

・気管チューブの固定状態、皮膚トラブルの有無

気管チューブの挿入位置は問題ないか、テープは確実にとまっているか、チューブや固定具があたる部分の皮膚トラブルの有無を観察します。

・呼吸器アラーム対応

高圧・低圧アラームやリークの有無など、呼吸器のアラームは命に直結する可能性があるので、迅速に対応します。

・分泌物の量・性状・吸引の頻度

分泌物の量や性状を見て、状態を把握します。感染兆候などの可能性もあるため、日々の変化を観察しましょう。

・鎮静管理や拘縮の予防

呼吸器管理では鎮静が使用されていることもあります。呼吸器の役割を最大化するために、適切な鎮静がされているかを観察します。また、鎮静に伴う拘縮を予防するためにポジショニングなど体位の調整を行います。

【まとめ】

  • ・ネーザルハイフローは「呼吸を補助する機器」、人工呼吸器は「呼吸を代行する機器」
  • ・ネーザルハイフローは「普段の生活に近い状態で治療が可能」、人工呼吸器は「生命維持の集中管理」が中心
  • ・どちらも観察の基本は呼吸状態+機器の管理、使用に伴う状態の変化や皮膚トラブルの有無などをこまめに観察しましょう。

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