とろみの硬さ分類と上手な作り方のちょっとしたコツ

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2025.06.24
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 飲みこむ力が弱くなってきた方にとって、食事中の「むせ」はとても大きなリスクです。誤嚥を防ぐために使われる「とろみ」ですが、現場では「思ったようにうまく作れない…」「毎回硬さが違ってしまう…」と感じる新人さんも多いのではないでしょうか。
とろみを正しく使うには、まずとろみの“硬さの違い”を知ることが大切です。日本摂食嚥下リハビリテーション学会による嚥下調整食分類2021を参考にとろみの硬さ、作り方についてお話します。

とろみの硬さは、大きく分けて3つ!

 ① うすいとろみ(軽いとろみ)

・水に近い、さらっとした状態です。

・スプーンですくうとすぐにトロっと落ちます。

・ストローで容易に吸うことができます。

液体の種類・味や温度によっては, とろみが付いていることがあまり気にならず摂取しやすいかもしれませんが中間のとろみより誤嚥のリスクに注意します。

② 中間のとろみ(ほどよいとろみ)

・明らかにとろみのあることを感じる硬さです。

・スプーンを傾けると、トロトロと流れ、フォークでは救うことができない。

脳卒中後の嚥下障害などで基本的にまず試されるとろみの程度で、飲み込みやすさと安全性のバランスがとれています。

③ 濃いとろみ(しっかりしたとろみ)

・スプーンにのせてもなかなか落ちない。

・見た目や感触はゼリーに近く、、飲むというよりスプーンで食べると表現する方が適切な硬さで重度の嚥下障害の方に使用されます。

・ただし、粘度が高すぎると飲みにくくなる場合もあるため、注意が必要です。

 とろみの硬さは、その方の飲みこむ力や体調に合わせて調整する必要がありますが、毎回ちょうどよい硬さに仕上げるのは意外とむずかしいもの。特に忙しい時間帯には、混ぜ方が雑になったり、ダマが残ってしまったりと、粘度にバラつきが出てしまうこともあります。

 そこでおすすめしたいのが100円ショップなどで手に入る小さな泡立て器(ホイッパー)です。スプーンや箸で混ぜるよりも、泡立て器を使った方がダマができにくく、全体がなめらかに混ざります。とろみがきれいに混ざらないと、むせやすくなるだけでなく、誤嚥のリスクも高くなってしまいます。

これらの条件を満たした上で、知識確認テストやワークショップを通過することで、資格を取得することができます。

さらにもう一つのポイントは、とろみをつけた後、5〜10分ほど置いておくこと。とろみ剤は、混ぜた直後よりも少し時間がたったほうが粘度が安定します。すぐに飲んでもらおうとすると、「ちょうどよいと思ったのに、あとで硬くなってしまった…」ということもあるのではないでしょうか?

ですから、患者さんの食事介助をする際には、最初にとろみを作ってから、そのあとでおかずの準備や配膳を行うようにすると、ちょうど良いタイミングでとろみがなじんで提供しやすくなります。

ほんの少しの工夫で、とろみづくりはぐっとラクに、安全になります。

とろみを“なんとなく”ではなく、“意識して丁寧に”使って日々のケアにぜひ活かしてみてくださいね。

【まとめ】

  • ・とろみの硬さは「うすい・中間・こい」の3段階
  • ・泡立て器を使うとダマになりにくい
  • ・作った後は5〜10分置いて粘度を安定させる
  • ・先にとろみを作ってから配膳するのがおすすめ!

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