便秘は多くの方が抱える辛い症状。
年齢と共に発症頻度も高くなり、高齢の患者様が多い病棟では大切な観察項目の1つです。
多忙な看護業務の中で皆さんはどう対応していますか?
業務的にこなすだけのルーティンになっていませんか? ちょっと待って!それって本当に適宜適切?!
便秘に対応する看護行為は主に摘便・投薬・浣腸ですよね。
どれも患者様にとっては苦痛を感じる看護行為である事を忘れてはいけません。
実施前にまずは、排便を促すためにできる工夫をしてみましょう。
1.患者様の排便サイクルを徹底調査!
病棟内のルールや基準で「○日間、無排便の場合は下剤・摘便・浣腸の実施」の決まりがある場合が多い様です。
でも、よく考えてみて!便秘の定義って何だっけ?
その患者さん、本当に便秘なの?
便秘の定義は下記の通りです。
1.排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある- 2.排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便
- 3.排便の4分の1超の頻度で、残便感を感じる
- 4.排便の4分の1超の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
- 5.排便の4分の1超の頻度で、排便介助が必要
- 6.自発的な排便回数が、週に3回未満
「○日以上排便が無い」という定義はありません。
大切にしたいのは、その患者様が「今までどんな排便習慣だったか?」です。
予め入院時にご本人や家族の方からヒヤリングし不要な苦痛を与えない様に心がけましょう。それが忙しい看護業務の負担を減らす事にも繋がります。
2.便秘の原因って?
高齢の入院患者様に多い原因と対処方法を下記にあげてみました。
1.筋力の低下に伴いいきむ事が出来ない
→可能な限り離床を勧めるなど活動範囲を広げる事が必要
2.抗がん剤やモルヒネなど常用している薬の副作用
→抱えている疾患の悪化を防ぐために投薬を続けながら下剤量の調節が必要
3.怪我や術後の安静期間
→特に消化器・婦人系の術後や骨折後の安静期間にみられる事が多くリハビリと共に排泄の観察が必要
4.経管栄養を行なっている
→食物繊維の不足が考えられるため、腸内環境の改善を期待できる製品への変更を検討が必要
それぞれ観察点が少しづつ違っていますよね。
抱えている原因によって必要な支援・援助が変わる事を考えた上で、必要な人に必要な看護を届けましょう。
3.たかが便秘。されど便秘
日常にありふれた症状に見られがちな便秘ですが、排泄という行為は人が生まれ持った欲求の1つです。
つまり、排泄が本人の意思通りに出来る事は生活の質を維持する事にも繋がるのです。 症状の緩和は患者様のQOLの向上とも考えられるでしょう。
【まとめ】
- 1.便秘の定義は患者さんによって違います。大切なのは今までの排泄習慣!
- 2.なぜ便秘を発症しているのか?原因に着目して適切な援助を考えよう。
- 3.個々に適した排泄援助は患者様のQOLを上げる事に繋がる。