自分で身体を動かせない時、身体の歪みや衣類や寝具のシワは、たとえわずかでも不快で辛いものです。オムツ交換の時に寝衣がまくれてしまったり、発赤や深いしわが皮膚に刻まれていると、悲しくなることもありますね。
臥床している方には様々な処置やケアを行いますが、その後も気持ちよく過ごせるように、整える技術をお伝えします。
1. 体幹を整える
体位変換やギャッジアップから仰臥位に戻したら、「これから身体の位置を直して気持ちよくしましょうね」と声かけをします。
枕を整えて身体がベッドの中心で真っ直ぐになるようにします。
2. 交差腕組みで身体をコンパクトにまとめる
患者の指先が反対側の肩に届く位置まで誘導し、胸の前で手を交差させます。
3. 背抜き
患者の左右の肩から、介護者の両手を背中に向かって滑り込ませます。外側に向けて手首を90度返しながら両肩を包み、そのまま体幹に沿わせて腰まで滑らせます。手を抜く際に上着の裾を引き、しわを伸ばします。
4. 下半身の関節運動
両腸骨をしっかり把持し、介助者の手を上下に動かし骨盤を揺らします。
そのまま臀部下に手を差し込み、足先へと手を滑らせます。膝窩まで来たら2、3度膝を上下に動かします。
さらに手を滑らせ、足底から背屈させて、足趾先までなぞり手を離します。左右の足関節を回し、交差した手を解きます。
「終わりました。気持ち悪いところはありませんか」と確認し修了します。
忙しい業務の中では無理と思われるかもしれません。
しかし、ケアの後に整えることで、関節拘縮の予防ができるなら、その後の介護負担の軽減につながります。正に「急がば回れ」です。
【まとめ】
– 体位変換後、仰臥位に戻る際に、声かけをしながら枕を整えて身体をベッドの中心に移動
– 患者の指先が反対側に付く位置まで誘導、胸の前で手を交差させることで身体をコンパクトにまとめる
– 背抜きを行い、手を抜く際には上着の裾を引いてしわを伸ばす
– 下半身の関節運動と両腸骨を把持して骨盤を揺らし、足先から足底まで手を滑らせる。その後、足関節も回す。
– ケアの後に整えることで関節拘縮の予防が可能。介護負担の軽減につながる