点滴からドレーン、人工呼吸器などスパゲッティ症候群状態になった患者さんへの清拭はICUや急性期病棟ではよく見かける光景です。そんな患者さんの清拭、正直戸惑ったりしませんか?更衣や清拭時にはルートの付け外しもありリスクを伴う上、皮膚状態を観察をしつつ清潔を保ち、バイタルサインを変動させないよう安全に行わなければなりません。 今回は私が実際に行っていた重症患者さんの清拭時のポイントをお伝えします。
1.清拭が可能かアセスメント
重症患者の清拭は、基本的に生命維持が最優先です。申し送りやカルテで事前に患者の全身状態を把握することも重要ですが、実際に清拭を行う前に患者のところへ訪問することをおすすめします。
訪問時には実際の使用薬剤や点滴速度、ドレーンの数など、患者の治療状況や身体状態を目視し、現状を把握できます。特に挿管中の患者の場合、鎮静剤の効果をRASS指数で把握していても、実際の状況が異なることがよくあります。そのため、リアルタイムで患者に触れるか、あるいは担当ナースから現在の情報を得ることが非常に重要です。
2.物品も人員も準備が大事
患者への負担を最小限に抑えるため、必要な物品や点滴等の準備を行います。清拭が短時間で行えるよう準備しましょう。
又、清拭時に見つけた追加の処置に備え手の届く範囲に回診車を準備しておくのも便利です。
そして、清拭実施には役割を決めて行うことも大切です。
2人で行う場合、1人が患者の身体を支えつつモニターの確認や患者の状態を観察し、もう1人は体の清拭や患者さんの皮膚状況などの観察処置に集中など役割をあらかじめうちあわせていくことも大切です。
補助循環装置(IABP、PCPS、ECMO)が装着されている方、身体が大きい場合や体動が激しい方の場合は3人で行うことが安全安楽につながります。
3.清拭による疼痛や嘔気・急変に注意
清拭中に患者の急な状態変化が見られた場合、清拭を中止し全身状態を再評価します。
私は疼痛による迷走神経反射をよく経験しました。
このため、痛みを最小限に抑えるためのケアを心がける必要があります。
創部がある方には事前に鎮痛剤を使用しましょう。
腹部の傷がある方には、体動時には上に乾いたタオルを置き両前腕で抑えると痛みを押さえつつ体を動かすことができます。 胸腔ドレーンが入っている方は、両腕で胸郭を抱き抱えるようにすると疼痛を最小限に抑えながら体を動かすことができます。
【まとめ】
1.清拭が可能かアセスメント
2.物品も人員も準備が大事
3.清拭による疼痛や嘔気・急変に注意