術後の初回離床は外科病棟で日常的に行われていますが、血圧低下や強い痛みによる離床拒否など、リスクも伴います。術後は呼吸・循環動態が大きく変動し、初回離床で急変する危険性もあります。今回は、安全な初回離床のために確認すべき5つのポイントを紹介します。
1. 安静度指示を確認しているか?
初回離床が許可されるタイミングは、術式や患者さんの全身状態によって異なります。「術翌日は車椅子まで」といった制限が設けられていることもあるため、必ず医師の指示を確認しましょう。 しかし、発熱していたり血圧が低かったりする場合は、医師の許可があっても離床の可否を慎重に判断する必要があります。
2. 離床の必要性や手順を説明しているか?
離床することを患者さんに伝えると「昨日手術したばかりでもう車椅子に乗るの?」と驚かれることがあります。
医師の許可が出ていることや早期離床の必要性を伝え、患者さんが安心して離床できるよう配慮しましょう。
3. 疼痛コントロールができているか?
痛みが強いと離床を拒否されることがあり、迷走神経反射による意識消失を起こす可能性があります。 バイタルサインをチェックしながら疼痛時指示薬を使用し、痛みが和らいだタイミングで離床できるよう調整します。
4. 段階的なヘッドアップができているか?
離床する際には徐々にヘッドアップを行い、身体を慣らしていくことが大切です。
ヘッドアップ後、バイタルサインを測定し、吐き気やめまいなどの自覚症状がないか確認します。 血圧低下や顔色不良、呼吸困難感といった症状が出現した場合には、すぐに離床を中止しましょう。
5. 安全に離床できる環境が整っているか?
端坐位にしようと下肢をベッドから下ろすと、急激に血圧が低下して意識消失することがあります。 初回離床は複数名のスタッフで行えるよう、人手を確保しておくと安心です。血圧計やモニター、車椅子など、必要な物品はすぐ手が届くところに準備しておきましょう。
【まとめ】
1. 安静度指示を確認
2. 離床の必要性や手順を説明
3. 離床前に疼痛コントロール
4. 段階的にヘッドアップする
5. 安全に離床できる環境を整える