患者さんのケアでさまざまな悩む場面があると思います。今回は褥瘡予防や適切なケアについて、皮膚・排泄ケア認定看護師の山岸さんに伺いました。教科書を見ただけでは解決しない、褥瘡に関する実践的な疑問が解消できる内容となっています。明日から現場で役立つ貴重なアドバイスが詰まった、実践的な座談会をお届けします。
【座談会メンバー】
Aさん(山岸さん)
看護師歴26年、皮膚・排泄ケア認定看護師8年目
訪問看護に従事しながら、リフレクソロジー・フットケアサロンを開業
Bさん(大野さん)
看護師歴23年、病院・重度身体障害者施設を経験
Cさん(青木さん)
看護師歴30年以上、病院・重度身体障害者施設・訪問看護ステーションなどを経験
褥瘡ケアの歴史と変化
看護師B
私が新人だった25年ほど前、褥瘡ケアは乾燥療法が主流でした。しかし、その後、湿潤療法が良いと言われるようになりました。エビデンスは変わるものでしょうか?
看護師A
そうですね。当時は先輩と一緒に褥瘡を屋上で日光浴させたり、ドライヤーで乾燥させたりしていました。江戸時代から褥瘡は知られていましたが、研究が進むにつれて、乾燥させると治癒に必要な細胞が死滅し回復が遅れることが分かり、湿潤療法が主流になった経緯があります。
看護師C
私もドライヤーを使っていました。氷で冷やした後にドライヤーで温風を当て、循環を良くするホット&クールというケアをしていました。
最新の褥瘡ケアの方法
看護師B
最新の褥瘡ケアでは、湿潤環境で皮膚を保護し、感染を防ぐことが重視されているのでしょうか?
看護師A
その通りです。現在は、創傷治癒に向けて良い細胞が活性化できるように、洗浄をしっかり行った上で湿潤環境を保つのが主流です。
褥瘡ケアにおけるラップ使用の是非
看護師C
ラップが一時期流行りましたが、今ではあまり推奨されていないと聞きます。それでも、ラップを使用して褥瘡がスムーズに治った経験もあります。実際のところ、褥瘡にラップを貼り付けて覆うのは良いのでしょうか?
看護師A
ラップを直接貼り付けることを推奨しているわけではありません。当時、ドレッシング材が高価だったため、安価で手軽なラップが注目されました。しかし、本来の用途以外の使用についてメーカーからの批判があったり、ドレッシング材と比較して褥瘡が悪化しやすいケースが増えたため、下火になりました。一方で、施設や在宅ではラップを使用するケースもまだ多くあります。ラップは覆う手段の一つですが、重要なのはその管理方法です。看護師が悪化に気づきケアを変更できる環境と、在宅で家族が管理する環境ではケアの方法が変わるので、その点を考えて普段の仕事をしています。
看護師B
性格に合わせて提案すると良いでしょう。
【まとめ】
・褥瘡管理は洗浄をしっかりした上で湿潤をする
・ラップは覆う手段の一つであって、どう管理するかが大切