スライディングシートは、ベッド上での体位変換や移動、車椅子への移乗に便利な道具です。前回の動画「スライディングシートの使い方 上方移動①」でも基本的な使い方をお伝えしましたが、今回は上方移動②として別の方法をご紹介します。この動画では、トランスファーシートと呼ばれる商品の使用方法を紹介しています。
対象
この方法は、寝たきりで自分の下肢筋力を使って踏ん張れない方に適しています。サイズはM以上のものをお勧めします。
スライディングシートの挿入方法
対象者の頸部と腰部の湾曲を利用してシートを挿入します。輪の端を持った手は、内向きに返すと手の甲がシートに隠れ、前腕もシートが覆われるため、スムーズにスライディングシートを入れることができます。
まず、ベッドに垂直に立ち、頸部と腰部の湾曲によってできた隙間に介護者の両手を滑り込ませます。このとき、腰を落とし挿入時は肘を90度くらいに曲げて、前腕をベッド上で滑らせるようにして差し込むと、シートが奥まで挿入できます。スライディングシートが入れられたら頸部側の手を抜き、抜き取った手で腸骨を支えながら、腰部側のシートを臀部までしっかりと伸ばし、手を抜きます。対象者が小柄な場合、この方法で十分ですが、体格が良い場合は、一旦側臥位にし、背部から臀部のシートをしっかりと伸ばします。
上方移動
小柄な対象者には、側臥位で頸部の下に介護者の上腕を挿入して頭部を支え、もう一方の手で大腿部を支持します。介護者の体重移動を利用して、上方に引き上げます。大柄な対象者には、仰臥位のまま二人介助で滑らせて移動します。
シートの抜き取り
シートを抜く際は、無理に引っ張らず、頭側と足側のシートの下側を引き、腰部に集めます。巻くように捻りながら引くとスムーズに抜けます。
この方法を活用することで、移乗や体位変換がより安全かつ効率的に行えます。日常のケアにぜひ取り入れてみてください。
【まとめ】
-この方法は寝たきりで下肢筋力がない方に適用。シートサイズはM以上推奨
-頸部と腰部の湾曲を利用してスライディングシートを挿入
-内向きに手を返してスムーズに挿入
-腰を落とし、肘を90度に曲げて挿入しやすくする
-小柄な対象者は側臥位、大柄な対象者は二人介助で移動
-シートを抜く際は無理に引っ張らず、巻くように捻りながら引く