これだけは押さえて!簡易懸濁法の手順とNG薬剤

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2025.08.6
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経鼻胃管や胃瘻・腸瘻から薬剤投与をするとき、どのように投与していますか?

簡易懸濁法は、錠剤やカプセルを砕いたり開けたりせずに、ぬるま湯に溶かして経管から投与する方法です。この方法では粉砕や開封を行わないため、薬剤の飛散による健康被害のリスクを抑えることができます。さらに、薬の安定性が保たれ、投与量のロスも防げるのが利点です。ただし、簡易懸濁法に適さない薬剤もあるため、各医薬品の特性を理解した上で実施する必要があります。この記事では、簡易懸濁法のポイントについて解説していきます。

1.簡易懸濁の手順

①錠剤・カプセルをそのままの状態でカテーテルチップ注射器もしくは懸濁ボトルに入れます。

②約55℃のお湯を20ml加えて10分放置。(55℃のお湯はポットのお湯と水を2:1で合わせると作成できます。)

③約10分後、投与前によく振り混ぜて混濁できていることを確認し投与しましょう。長時間放置すると配合変化を起こすこともあるため、放置時間に注意が必要です。

2.簡易懸濁法の注意点

なかには簡易懸濁法に適さない薬剤があり注意が必要です。

  • 徐放性薬剤…徐々に吸収されるように作られた薬のため懸濁して投与することで血中濃度が急激に上がります。他の剤形に変更する必要があります。

例)アダラートCR錠やヘルベッサーRなど

  • 腸溶性薬剤…胃では溶けず腸で溶けるように作られた薬です。チューブ先端が胃より下にある場合は簡易懸濁法が利用できます。

例)バイアスピリンやオメプラールなど

徐放性薬剤、腸溶性薬剤の多くはコーティングされているため、コーティングされた薬剤の場合は、自己判断で簡易懸濁をせず薬剤師に確認をしましょう。

また、お湯の温度が高すぎると凝固してチューブが詰まりやすくなる錠剤や、他の薬剤と一緒に懸濁すると配合変化を起こす薬剤があります。

例えば、タケプロンOD錠やビオフェルミン配合散は高温のお湯で溶くと凝固してしまいます。この場合、懸濁液を10分放置して温度の下がった状態で加えるか、単独で水に溶かして投与します。また、マグミットの懸濁液は強いアルカリ性を示し配合変化を起こしやすいため、単独で投与します。

簡易懸濁法を用いることで、粉砕法より経管栄養で投与できる薬が多くなります。粉砕法よりメリットが多い方法ですが、簡易懸濁に適さない薬剤もあり注意が必要です。投与方法に悩んだ時は、薬剤師に問い合わせて確認しましょう。

【まとめ】

・簡易懸濁法は医療者の健康被害リスクを下げるだけでなく、安定性の損失、投与量のロスを避けられる。
・粉砕法より多くの薬剤に対応できるメリットがある

・簡易懸濁法に適さない薬剤もあるため、薬剤の個別の特性に注意が必要

・判断に迷うときは必ず薬剤師に相談する

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