陰部の拭き方、気をつけていますか?
実はその拭き方が、感染リスクや皮膚トラブルの原因になることもあるのです。
陰部ケアはよく行っているケアと同時に、患者さんの清潔を守る大切な手技。
今回は、拭き取りの方向・力加減・声かけのポイントまで、今さら聞けない基本をお伝えします。
陰部ケアは尿路感染症や皮膚トラブルの予防、および清潔保持を目的としたケアです。
正しい拭き方を理解することは、患者さんの安全を守るためにも非常に重要です。
1.正しい方向

陰部洗浄やオムツ交換時の拭き取りは、「陰部から肛門に向かって拭く」という拭き取り方向を守ることが非常に重要です。
・感染予防としての意味
肛門周囲には、大腸菌などの多くの細菌が存在しています。このような菌が尿道口や膣などの粘膜に付着すると、尿路感染症や膣炎を引き起こす可能性が高まります。
肛門から陰部の方向に拭くと、肛門周囲の細菌を陰部に運んでしまう危険があります。
特に女性は尿道が短く、膀胱に細菌が届きやすい構造になっています。感染リスクがより高いとされているため注意が必要です。
・一方向の原則
清潔な部位から不潔な部位へ、つまり「陰部→肛門」の順に拭くことで、菌の移動を防ぎます。
この一方向での拭き取りは、感染防止の基本動作になります。
陰部と肛門を往復して拭くと細菌を運ぶことになるので、必ず一方向で拭きましょう。
2.やさしく押さえるように拭く

きちんと汚れを取ろうとゴシゴシ擦ると、逆に皮膚や粘膜を傷つける恐れがあります。
・粘膜はとてもデリケート
陰部や肛門周囲の皮膚、特に粘膜部分は非常に薄いため敏感です。
・傷が感染の入口になる
ゴシゴシ擦ることで皮膚や粘膜に傷ができると、細菌が侵入しやすくなり、尿路感染症や皮膚炎などの原因になります。
・乾燥やかゆみの原因に
高齢者や皮膚の弱い方は、擦る刺激によって皮膚のバリア機能が低下し、乾燥やかゆみ、赤みなどのトラブルを引き起こすことがあります。
そのため、「やさしく押さえるように」拭くことが、清潔を保つうえでも、患者さんの皮膚を守るうえでも非常に重要です。
3.患者さんへの配慮

患者さんの身体に直接触れるケアのため、患者さんの尊厳を守り、安心感を与える対応が必要不可欠です。
・事前にケアの必要性・内容を説明し、同意を得ましょう。
ケア中も声かけをこまめに行い、患者さんの反応をよく観察して、不安や羞恥心が強い場合は患者さんのペースに合わせて行いましょう。
・カーテンやパーテーションでプライバシーを確保しましょう。
バスタオルやタオルを使用して、ケア中の露出も最小限に抑えましょう。
【まとめ】
・陰部洗浄やおむつ交換時のケアは感染リスクになることもあるため注意が必要。
・拭き取りは「清潔から不潔な部位へ」を守りましょう。
・皮膚や粘膜はデリケートなため、優しく押さえ拭きをしましょう。
・患者さんへの配慮も大切です。