PICC(ピック)とは〜適応と禁忌〜

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2025.09.11
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高カロリー輸液が必要、化学療法をする、末梢静脈ラインがとれない、採血が困難などの患者さんに対し、検討・選択されることがあるPICC(ピック)。外科手術で全身麻酔が必要なCVポートより患者さんへの身体への負担が少ないため採用されることが増えてきました。PICCとは何か、適応と禁忌について解説します。

PICCとは

Peripherally Inserted Central Venous Catheterの頭文字をとったもので日本語では「末梢穿刺型中心静脈カテーテル」や「抹消留置型中心静脈カテーテル」と訳されます。上腕の静脈から挿入し、先端が上大静脈に留置されます。CVポートのような手術の必要がなく、エコーを用いて挿入することが特徴です。また、近年では医師の指示のもと、特定行為研修を修了した看護師や診療看護師(NP)が挿入することができるようになりました。

PICC留置の適応

末梢静脈ラインからの投与が困難な薬剤

高カロリー輸液や循環作動薬、抗がん剤など、末梢静脈から投与ができない点滴を使用する場合

5日から1週間以上輸液が必要な場合

末梢静脈ラインは72〜96時間の差し替えが推奨されています。患者さんの負担や現場の円滑さを考慮して、長期間の輸液投与が見込まれる場合は検討の余地があります。

末梢血管のルート確保が困難

高齢の患者さんなどで血管が脆くなっている、細くて点滴の挿入が困難な患者さんに、PICCの挿入の方が負担が少なくすむ場合があります。

採血が困難

治療のため頻回に採血が必要、血管が見えない、血管が細くて必要量の血液が採取できない場合にも適応があります。

在宅療養で中心静脈カテーテルによる点滴管理が必要

在宅療養で高カロリー輸液を投与する場合や、ターミナル期の疼痛コントロールで薬剤を投与する場合、PICCがあると管理がしやすいことがあります。CVポートよりも導入がスムーズなため在宅での治療の幅が広がることが期待されます。

PICC留置の禁忌

・挿入時安静保持が困難
・出血傾向がある
・上肢の拘縮が強い
・認知機能低下による自己抜去の可能性が高い
・透析用シャントがあるまたは増設予定

【まとめ】

・PICC(ピック)は上腕の静脈から挿入、先端が上大静脈に留置される

・高カロリー輸液や抗がん剤投与、長期間の輸液投与が必要な場合に適応される

・末梢ルート確保困難、採血困難な患者さんまた、在宅療養患者さんにも適応

・挿入時安静保持困難な場合や出血傾向、自己抜去のリスクがある患者さんには禁忌

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