手術後の患者さんの足元で、カシャカシャと動く“足首マッサージ機”を見たことはありませんか?
これは「フットポンプ」と呼ばれ、深部静脈血栓症(DVT)を予防するために使われます。
しかし目的や使用中・使用後の注意点を正しく理解していないと、思わぬ事故やトラブルの原因になることも。
今回はフットポンプの役割、観察ポイント、そして私が実際に経験した“うっかりミス”まで、まとめてお伝えします。
フットポンプとは?

フットポンプは、足首や足底を一定のリズムで圧迫し、下肢の静脈血流を促進してDVT(深部静脈血栓症)を予防する機器です。術後や長時間安静が必要な患者さんにルーティンで使われることが多く、離床までの間、重要な血栓予防手段になります。
目的と原理

手術や長期臥床では下肢の血流が停滞し、血栓ができやすくなります。これは「Virchowの三徴」と呼ばれる血栓形成の三大要因のうち、①血流停滞が強く関与するためです。
フットポンプは足底や足首を機械的に圧迫し、ふくらはぎの筋肉をポンプのように動かして静脈血を心臓へ戻す「筋ポンプ作用」を補助します。これにより血流が促進され、血栓形成のリスクを減らします。
適応の広がり

整形外科や腹部手術の術後患者だけでなく、血栓リスクが高く長期臥床を余儀なくされる患者にも使用されます。
例:がんや血液疾患で安静期間が長い患者、神経疾患で下肢が動かせない患者、外傷後の長期固定が必要な患者など。
また抗凝固薬が使えない場合や、薬物療法と併用して血栓予防を強化したいときにも有効です。
看護・ケアの視点

使用中は、発赤・擦れ・冷感・しびれ・圧迫のズレなど皮膚や循環の状態をこまめに観察します。皮膚トラブルや末梢循環障害が見られたら、すぐに中止や調整を検討します。
終了時は必ず他のラインやコードと混同しないよう確認しましょう。
私の経験ですが、ディスポーザブルのフットポンプ使用後、ディスポ部分につながっている再利用可能な接続ラインを誤って廃棄してしまったことがあります。
片付けは「外したららすぐ」ではなく、「外したものの中でディスポはどれか確認してから破棄する」手順の方が確実です。新人さんは特に、使用後の確認を習慣化すると業務がスムーズになりますよ。
【まとめ】
・術後や長期安静時の血栓予防にフットポンプは有効
・使用中は皮膚の発赤やしびれなど循環をしっかり観察
・使用終了後の片付けも看護のうち