膀胱留置カテーテルを挿入している患者さんの、蓄尿バッグやカテーテルが紫色に変色しているのを見たことがありませんか?この紫色蓄尿バッグ症候群(紫色尿症候群)、原因のひとつに便秘が関係しています。今回はその仕組みとポイントをわかりやすく解説します。
1、紫色蓄尿バッグ症候群とは?

膀胱留置カテーテルを挿入している患者さんの蓄尿バッグやカテーテルが紫色に変色する現象は「紫色蓄尿バッグ症候群(Purple Urine Bag Syndrome=PUBS)」と呼ばれます。日本語では「紫色蓄尿バッグ症候群」「紫色尿症候群」と複数の表記が使われています。この現象は、尿自体が紫色になるというよりも、蓄尿バッグやカテーテルの内面に付着した色素によって紫色に見えるのが特徴です。また、基本的に紫蓄尿症候群のみでは、発熱などを伴いません。(カテーテル関連無症候性細菌尿)よって、抗生剤の投与は必要ないとされています。
2.原因の1つは便秘

便秘が紫色蓄尿バッグ症候群に関与する理由は、腸内でのトリプトファン代謝にあります。
便秘で腸内に便が長く滞留腸内細菌増殖
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トリプトファンを 腸内細菌が分解
(便秘で増殖すると促進)
↓
インドールが腸管で吸収
↓
肝臓で代謝し、インジカンとなる(尿中へ)
↓
尿路細菌の作用で変化
(インジゴ=青/インジルビン=赤)
↓
蓄尿バッグ・カテーテルに沈着
↓
紫色に見える
3.発見時の対応は?

まず最初に考えるべきは「この膀胱留置カテーテルは、本当に必要か?」ということです。留置により尿もれなどが起きにくく、不要でも挿入されたままになっていることも少なくありません。膀胱留置カテーテルは、30日以上の留置で尿路感染リスクはほぼ100%といわれています。紫色蓄尿バッグ症候群予防の為だけでなく、膀胱留置カテーテルは必要性を日々検討する必要があります。次に、排便状況を確認しましょう。前述のように、便秘による腸内細菌の増殖が紫色蓄尿バッグ症候群を引き起こすきっかけの1つになっています。加えて、水分摂取量の評価も重要です。便秘の要因は水分摂取量の不足かもしれません。また、水分不足により尿量が減少すると、細菌排出が遅れ尿路感染リスクが上がります。
【まとめ】
・紫色尿バッグ症候群(PUBS)の原因の1つは便秘によるトリプトファン代謝
・発見時は①カテーテルの必要性を確認②排便状況を評価③水分補給を促す
・多くの場合は抗生剤不要



