人工呼吸器のアラーム音で訪室したら、気管切開カニューレが抜けていた —— こんな緊急事態に、あなたはすぐに対応できますか?遭遇したくない状況ですが、看護師として万が一に備え、正しい手順を確認しておきましょう。
事故抜去発見時早期に対応が必要な3つの理由

「事故抜去」「自己抜去」いずれにしても「人工呼吸器装着中の患者さんの気管切開カニューレが抜けた」ということには変わりません。早期の対応が出来ないと、命を落とす危険も……
早期の対応が必要な理由は主に次の3つです。
・気道確保の喪失による低酸素血症のリスク
・気管孔の閉鎖・狭窄の恐れ
・低酸素血症による脳障害や心停止のリスク
事故抜去に遭遇したら……
1、まずやること
事故抜去を発見したら、その場を離れずまず応援を呼びましょう。ナースコールや緊急コールで速やかに人員を集めます。同時に、患者の状態を素早く確認します。意識レベルの変化、呼吸状態、SpO2、チアノーゼの有無をチェックします。
気管切開カニューレの再挿入は、医師が行う必要があります。応援のスタッフが来たら、医師への連絡を早めに依頼することも忘れずに。
2、緊急換気の開始
応援が到着するまでの間、または医師が到着するまで、看護師自身が換気を行う必要があります。方法は2つ。
バイタルサインや症状、検査データ、生活背景、環境などを周囲に配置します。
例:「38.5度の発熱」「咳嗽強い」「SpO2:90%」「妻と二人暮らし」
方法1:口からの換気

気管孔に厚めにガーゼを当てて気管孔を塞ぎます。通常の換気マスクをアンビューバッグに装着し、口から換気を実施します。応援のスタッフが到着している場合には、気管孔のガーゼを抑える人とアンビューバッグで換気をする人に分かれる方がスムーズです。この方法も、換気が適切に入っているか胸郭の動きとSpO2で確認することが大切です。一般的にこの方法で対応することが多いです。
方法2:気管孔への直接換気

上記の方法1で行いたくても、そばにガーゼがないことも……そんなときには、気管孔周囲の皮膚を両手の指で左右に広げるように保持し、気管孔を開いた状態を維持します。アンビューバッグをマスクをつけずに気管孔に直接密着させ、換気を開始します。この際、上気道の呼吸経路が確保されていると、口からエアリークすることもあるので、エアリークがあるようなら口を閉じましょう。また、気管孔からのエアリークで換気が不十分になることもあるので、指の位置をエアリークがなるべく少なくなるよう調整しつつ胸郭がしっかり上がっているかを確認しましょう。SpO2の改善も重要な指標です。
【まとめ】
人工呼吸器装着中の気管切開カニューレの自己抜去に遭遇したら
・その場を離れず応援を呼ぶ。応援のスタッフに医師への連絡を依頼。
・緊急換気を行う。
・緊急換気の方法は、ガーゼを気管孔に当てて口からアンビューによる換気を行う方法と、気管孔に直接アンビューをあてて換気する方法がある。



