「空打ちって、毎回やらないとダメ?」「なんでやるんですか?」——インスリン自己注射の指導中や後輩にこんな質問された経験はありませんか。忙しい業務の中で、なんとなく教えてもらった通りやっていて、意味を聞かれたらこたえられないでは困ります。患者さんにも後輩にもきちんと説明できるよう、この記事ではペン型インスリンの空打ちの目的を説明します。
1. ペン型インスリンの空打ちとは?

ペン型インスリンの空打ちとは、注射前に1〜2単位に合わせ、針先を上に向け注入ボタンを押し、薬液が針先から出てくるのを確認する作業です。「なんとなく教わったとおりにやっている」という方も実はいるのではないでしょうか。空打ちには、明確な理由があります。患者さんや後輩への指導においても、自分自身がきちんと理由を理解した上で伝えましょう。
2. 空打ちが必要な3つの理由
では、なぜ空打ちが必要なのでしょうか。日本薬剤師会によると空打ちの目的は次の3つに分類されます。

目的①:注射器に故障はないか確認する
ペン型インスリン本体が故障していないか、または正しく作動するかを確認します。気づかぬうちに落とすなどしていて、目に見えない破損があるかもしれません。破損や作動不良のままインスリン注射をすると、適正なインスリンが体に注入されず、血糖コントロールに重大な影響を及ぼしかねません。
目的② 針詰まりはないか確認する
ペン型インスリンの針は非常に細く、目には見えない詰まりや変形が起きることがあります。空打ちで針先から薬液が出ることを確認することで、針が正常に機能しているかをチェックできます。もし薬液が出なければ針交換のサインです。詰まったまま注射をすると、インスリンが体内に届かず高血糖を招くリスクがあります。
目的③ 空気を除去する
薬液が入っているカートリッジ内や針先に混入した空気を抜きます。空打ちをせずに注射すると、空気の分だけ実際に体内へ入るインスリン量が少なくなってしまいます。空打ちを1〜2単位行ってから単位をセットしてはじめて、適正なインスリンが体内に届けられるのです。
3. 正しい空打ちの手順と患者指導のポイント

① ペン型インスリンのゴム栓をアルコール綿でしっかり清拭し、新しい針をセットする
② 針先を上に向け、指でペン型インスリンを数回はじく(空気を上部に集めるため)
③ ダイヤルを回し、1〜2単位合わせる
④ 注入ボタンを押し、針先から薬液が出ることを確認する
患者さんへの指導では、「空打ちしてください」と伝えるだけでなく「なぜやるのか」を一緒に説明しましょう。意味を理解することで、患者さん自身の自己注射への意識が変わり、継続的な血糖管理につながります。
まとめ
・空打ちの目的は「針づまりがないか確認」「注射器に故障はないか確認」「空気を除去する」の3つ
・ 毎回必ず実施し、針先から薬液が出ることを確認する
・ 患者指導では理由も合わせて伝え、自己管理への意識を高める



