手術の出血の時も患者さんの急変時でも、病院内でよく登場する輸血。
ここでは、事前の準備から使用する物品等に押さえておきたいポイントをお伝えします。
準備から実施まで細かいですがポイントがわかれば、輸血のマニュアルを理解しやすくなる他に輸血実施の時の観察にも役立ちます。
1.輸血のオーダーが出たら、準備と一緒に輸血の同意書は必ず確認
輸血は、予定はもちろん急変時にもある処置です。
輸血は薬事法第6条の7で「血液製剤の有効性および安全性その他当該当製品の適切な使用のために必要な事項について、患者又は家族に対して適切かつ十分な説明を行い、その理解を得るようつとめなければならない」と記載されています。
輸血自体を拒む宗教もあり、輸血は必ず同意がなければ実施できないという認識でいましょう。
2.なぜmlでなくて単位。輸血が単位表記の理由と副作用症状の観察タイミングの注意点
輸血は単位(U)で数えます。1単位は献血120mlから作られます。全血の献血では最大量400mlです。成分輸血でも600ml以下となります。
特に副作用症状出現が多い照射濃厚血小板輸血の最大単位は20単位です。単位数が多い輸血は複数の人の血液が使用されており副作用症状がでる可能性が高くなります。
そして、輸血投与後5分以内に副作用が出現することが多いです。厚生労働省は、輸血投与5分は患者のそばにいることを推奨しています。輸血中のチェックは必須です。
また、輸血の副作用は溶血性から非溶血性等多数の副作用症状があります。輸血後にも副作用症状が出現する可能性を意識し、疑うような症状が出ないか観察、早急に対応できるよう輸血前に処置方法等指示を確認し対応できるようにすることが大切になります。
3.輸血セットのパッケージは点滴液筒の濾過フィルターの違いをチェック
輸血用の点滴セットのパッケージは色合いが違いますが赤色です。そのため、開封したら間違ったセットを出してしまうことも。 セットの違いは点滴液溜まりに濾過フィルターの有無で判断出来ます。濾過フィルターが見えるものは赤血球輸血用セットです。輸血セットは開封前に袋の状態から確認可能です。
4.輸血セットを接続するときは必ず平らな場所で接続を。輸血セットライン接続漏れに注意
輸血本体と輸血セットを繋ぐ接続部は二箇所あります。接続部は柔らかく輸血セットを接続しづらいです。接続しようとして袋を突き刺し袋を破損してしまうことも。
破損せずに接続するためには、輸血セットと輸血バックを接続させる時準備台の平らな場所で輸血セットをひねりながらプラスチック針の根本までしっかり接続しましょう。もし破ってしまったら、速やかに外し破れたところはコッヘルで止めれば反対側から輸血セットをつなぐことも可能です。
最後に基本ですが輸血の間違いは命に関わります。輸血の準備の時、実施する時必ず氏名から血液型、クロスマッチ、不規則抗体等か確認事項を確認後に実施しましょう。常に確認をすることで安全に輸血を実施できます。
【まとめ】
- 1.輸血予定がでたら輸血同意書を確認
- 2.輸血時の副作用がでることもあるが、その副作用を理解し対応できようにする
- 3.輸血セットは2種類。液溜まりで素材の種類を確認し、用途にあったセットを使う。
- 4.輸血セット装着は平らなところで装着。破れたら反対側でも装着は可能。