高齢者に多い誤嚥性肺炎。在宅療養中の高齢者が飲食中にむせこむことが多くなってきたと感じた時に注意して観察するポイントや誤嚥性肺炎を予防する対策をまとめています。
1. 頸部が後屈していないか
介助者が立って食事解除をしている場合、高い位置からの介助により高齢者の頸部が後屈してしまうことがあり、注意が必要です。目線を合わせて胸元からスプーンを運ぶ介助を意識すると頸部の前屈が保持しやすく嚥下がしやすい姿勢になります。また深さのある器や湯呑みで水分を飲むと頸部が後屈しむせ込みの頻度が増える要因になります。
2.崩れた姿勢で食べていないか
座位が自立しない高齢者の場合、飲食中に体が左右に傾いたり、仙骨座りにずり落ちたりしてしまう場合、上半身が崩れた姿勢になり頸部前屈の姿勢が保持できずむせ やすくなります。
3.一口のペースが速くないか、量が多くないか
一口量が高齢者の嚥下スピードに合っていないと、1回の嚥下でうまく飲み込むことができず、飲食物が口腔内に残ってしまいむせの原因になります。次々と早いペースで飲食物を口に運ぶ介助が原因で誤嚥してしまうこともあり注意が必要です。
4.飲食に集中しているか
テレビや目の前のものに気を取られたり、頻繁な人の出入りがあるなど、高齢者が飲食に集中できない場合もむせこみ頻度が多くなることがあります。飲食中は咀嚼や嚥下に集中できる静かな環境を整えることが誤嚥予防につながります。
5.むせ込みやすい食材を提供していないか
熱いお茶や汁物など湯気が立つものは、湯気が喉を刺激するためむせやすくなります。冷ましてから一口ずつ口に運んだり、とろみをつけてゼリー状にする対策がおすすめです。また辛い香辛料や酸味の強いものも喉を刺激するのでむせ込みの要因になります。
パンやカステラ、ゆで卵などパサパサしたものは、喉に詰まりやすくむせやすい食材です。飲み物と交互に口に運ぶことや一口量を少なくする工夫でむせを予防することができます。また粘りの強いお餅や団子、貼り付きやすい海苔やわかめ、モナカの皮などもむせを引き起こす要因になる食材です。
野菜のみじん切りやひき肉など口の中でバラバラしやすくまとまらない食材もむせを引き起こします。噛む力が落ちたと感じた時に細かく刻んだ食事を準備しがちになるため注意が必要です。小さく細かい食材にはつなぎになる食材を使用したり、とろみをつける工夫をして誤嚥を予防しましょう。 麺類や雑炊、フルーツは固形と液体が混ざっているため水分だけが先に喉に流れてしまい、誤嚥のリスクが高い食材です。麺は柔らかく茹でて 細かくなりすぎない 3cm 程度にカットすることや液体部分にとろみをつけること、 ペースト状に加工するなどの対策があります。
このようなポイントで対策をしてもむせこみ頻度が減らない場合は誤嚥性肺炎のリスクが高まる著しい嚥下機能の低下が考えられます。主治医や言語聴覚士などと相談しながら機能維持訓練を行い誤嚥を予防しましょう。
【まとめ】
飲食中にむせ込む頻度が増えた在宅療養中の高齢者にできる 誤嚥予防の対策は
・頸部が後屈しないように姿勢を整える
・高齢者にあったペースで介助する
・飲食に集中できる環境を整える
・むせやすい食材は避ける
・食材の大きさや とろみの程度を工夫し誤嚥を予防する