酸素療法は、患者さんの呼吸を助けるために使われる大切な治療法です。ここでは、酸素をどのように供給するかによって異なる「低流量システム」と「高流量システム」について説明します。その他高流量システムで使われる機器(デバイス)についても
何がちがうのか、どんな種類があるの?そんな疑問をまとめました。
【酸素療法】
酸素療法には「低流量システム」と「高流量システム」があります。低流量システムでは、鼻カニューレや簡易酸素マスクが代表的なデバイスです。一方、ネーザルハイフローやベンチュリーマスクは、高流量システムで使用されます。

低流量システム
患者の1回の呼吸量に対して不十分な酸素を供給し、不足分は周囲の空気から補われます。そのため、呼吸が不安定な患者さんには適さないことがあります。
高流量システム
高い流量で酸素を供給し、吸気量すべてを一定の酸素濃度で提供します。このため、呼吸が不安定な患者さんに適しており、気道が乾燥しやすい場合も加温・加湿された酸素を供給できます。NIPVや気管挿管を避けたい呼吸不全の患者さんにも適しています。
【高流量システムの種類】

●ネーザルハイフロー(NHF)
ネーザルハイフロー(NHF)は、30〜60L/分の高流量で酸素を供給し、加温・加湿された酸素を提供するシステムです。鼻カニューレを使用するため、快適で長時間の使用でも不快感が少ないのが特徴です。一定の酸素濃度を維持でき、呼吸が不安定な患者にも適しており、非侵襲的に呼吸をサポートします。NIPVや気管挿管を避けたい患者の食事やADL(日常生活動作)を維持する際に有利なデバイスです。

●ベンチュリーマスク(インスピロン)
酸素の流量と濃度を24〜50%の範囲で調整し、安定した酸素を供給します。さらに、インスピロンネブライザーはネブライザー機能を備えており、酸素投与と同時に十分な加湿が可能です。
インスピロンネブライザーは、ベンチュリーマスクにネブライザー機能が追加されており、酸素投与と同時に十分な加湿ができる点が特徴です。
ベンチュリーマスクは、ダイリュータ部分で酸素の流量と濃度を調節し、24〜50%の酸素濃度を安定して供給します。
【まとめ】
-酸素療法には低流量システムと高流量システムがある
-高流量システムはネーザルハイフローやベンチュリーマスクを使用
-NHFは高流量・加温加湿酸素を供給し、快適でADLをサポート
-ベンチュリーマスクは24〜50%の酸素濃度を安定供給し、加湿機能を備える