認知症やせん妄を呈する患者さんは、日中は比較的穏やかですが、夜間には不穏な状態に陥りやすいとされます。夜間に「これは邪魔だ」と感じることから、膀胱留置カテーテルを自己抜去してしまうケースがしばしばあります。このような行動は、出血性膀胱炎や再留置のリスクを高め、患者の負担を増大させます。この記事では、膀胱留置カテーテルの自己抜去を防ぐための効果的な予防策を5つご紹介します。
1.カテーテルの適切な固定

カテーテルの適切な固定は、自己抜去予防の基本です。特に認知症患者の場合、手の届きにくい位置への固定が大切です。具体的には、ズボンの裾からカテーテルを通し、下肢にテープで固定する方法が効果的です。抜けないようにしっかりとテープで固定しますが、皮膚トラブルに注意が必要です。清拭や更衣などのタイミングで固定場所やカテーテル挿入部の皮膚のトラブルがないか確認し必要時固定位置をずらすなど貼り替えを行いましょう。
2. 丁寧な説明
高齢者、特に認知症を持つ高齢者はカテーテルの必要性を理解することが難しいことがあります。
そのため、患者さんの理解力に合わせて、カテーテルが膀胱に繋がっている様子や、カテーテルがあることで尿がスムーズに排出される様子を示すイラストなどの視覚資料を活用しながら、分かりやすい言葉で丁寧に説明しましょう。また、可能なら家族への説明も同様に行い、患者だけでなく周りの協力を得ることも大切です。
3. 環境整備

視界にカテーテルなどが視界に入らないよう環境整備することも自己抜去予防に大切なケアです。カテーテルはズボンの裾からカテーテルを通すなど、衣服で隠すことで患者の視界に入りにくくする工夫も大切です。
そして、患者の動線を考慮して尿バッグの位置も配置しましょう。また、ベッド周りの整理整頓を行うことでカテーテルに注意が向きにくい環境を作りましょう。
4. 定期な観察

不穏のサインを早期に発見するため、定期的な観察は不可欠です。訪室時は、バイタルサインだけでなく、患者の表情や行動の変化にも注意を払いましょう。
特に、落ち着きがない、イライラしている、カテーテルに頻繁に触れるなどの行動が見られた場合は、自己抜去のリスクが高まっているサインとして注意が必要です。
5.予防的ケア
最も重要になるのは、カテーテル留置の必要性を定期的に評価し、可能な限り早期抜去を目指すことです。
排尿パターンの把握や適切な水分管理、ADLに合わせたトイレ誘導など、包括的なケアを行い、抜去ができる状態か評価を定期的に行います。