ネーザルハイフローのケアのポイント①患者の観察項目と理由

呼吸器内科
2025.06.24
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ネーザルハイフロー(NHF)は、高流量の加温・加湿酸素を鼻カニューレで投与する酸素療法です。気道の加湿ができるため分泌物の除去をサポートしながら患者の呼吸状態を改善するメリットがあります。NHFのケアには適切な観察とケアが求められるため、「患者の観察項目」と「機械の観察項目」に分けて解説したいと思います。まずは、①として患者の観察項目とその理由を詳しく解説します。

NHF使用中の患者の観察項目とその理由と対策

1. 呼吸状態(呼吸数・努力呼吸の有無)

理由: 呼吸困難の評価と改善状況を確認するため。
呼吸数が増加や肩呼吸・陥没呼吸がある場合は、酸素が適切に供給されていない可能性があるため注意する。

    対策:

    ・SpO₂と呼吸数を確認し、目標値以下なら医師に報告

    ・ 体位調整(ファウラー位や座位)で呼吸を楽にする

    ・ 口すぼめ呼吸や深呼吸を促す

    2. SpO₂(経皮的酸素飽和度)

    理由: 酸素供給が適切か評価するため。
    目標値を下回る場合は酸素濃度や流量の調整を検討する。

    対策:

    ・NHFの酸素流量やFiO₂の設定を確認する
    ・カニューレのフィット具合を確認し、ずれていれば調整する
    ・患者にリラックスするよう声かけする

    3. 患者の表情や発話の変化

    理由:苦しそうな表情や会話の減少がある場合、呼吸状態の悪化が考えられる。

    対策:

    ・NHFが適切に作動しているか確認する
    ・患者の不安を軽減するため、声かけや説明を行う
    ・体位調整で呼吸の負担を軽減する

      4. 気道分泌物の量と性状

      理由: 加湿効果で痰を出しやすくしているため、喀痰の有無・量・性状を確認し、吸引の必要性を判断する。

      対策:

      ・吸引の必要性を判断し適切に実施する
      ・体位ドレナージを行い排痰を促す

        5. カニューレと接触している皮膚や鼻腔の状態

        理由:鼻カニューレの圧迫で、皮膚や鼻腔粘膜が傷つくことがあるため、出血や皮膚トラブルがないか確認する。

        対策:

        ・加湿機能が適切に作動しているか確認する
        ・ワセリンなどで鼻腔の保湿を行う
        ・カニューレの圧迫が強すぎないよう調整する

        【まとめ】

        NHF使用中は、呼吸状態の観察に加えて、鼻の乾燥や皮膚トラブルを防ぐためのケアが大切です。以下のポイントを押さえて、快適な療養環境を整えましょう。

        • ・加湿機能(温度・湿度)が適切に作動しているか確認する
        • ・鼻腔が乾燥している場合は、ワセリンなどでやさしく保湿する
        • ・鼻の入口や周囲に赤みやただれがないか観察する
        • ・カニューレが圧迫していないか、フィット感をこまめに調整する

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