片麻痺のある患者さんで身体の傾きが強く、ベッドから車椅子への移乗介助で怪我をさせてしまいそうになったことはありませんか。
車椅子の配置や介助者の立つ場所は、患者さんの身体特性を把握しておく必要があります。初めて担当する患者さんであっても安全に移乗動作を介助できるための重要ポイントを解説します。
1.麻痺の部位と程度を把握しておく
麻痺の部位が右と左のどちらなのか、必ず情報収集をしましょう。
また、麻痺の程度は完全麻痺なのか軽度なのか、それによっても介助方法は異なります。診療情報提供書などで患者さんの身体特性を把握しておきましょう。
2.健側から移乗し、ベッドの高さ調節をする
左側に麻痺があり右側が健側の場合は、患者さんの右側で移乗動作を行います。ベッドに対して斜め30~45度になるように車椅子を配置します。また、移る方が少し低い位置になるよう、移乗前にベッドの高さを調整しましょう。
3.麻痺側を支えて移乗しましょう
起居介助では麻痺のある方へ倒れやすいため、麻痺のある方を支えてあげましょう。患者さんに密着して寄り添うように介抱して行うと、安定性が高まります。また、足を開いて重心を低く保つことも忘れずに行って下さい。
4.麻痺側の膝を固定させ、車椅子へ寄せてあげるように
麻痺側の膝は、立ち上がる時に膝折れして姿勢を崩しやすくなります。介助者の膝で患者さんの膝を少し押し上げるように固定すると、移乗時の不安定さを軽減できますよ。
また、持ち上げるより車椅子の座面に患者さんを寄せてあげるように移乗すると、無理なく介助できます。
5.補助具を使用する
麻痺側の上肢は不安定のため、移乗動作で手を巻き込んでしまうことや肩関節の脱臼等のリスクがあります。三角巾やアームホルダーで固定し、怪我防止に努めましょう。
また、スライドボードでベッドと車椅子の隙間を埋める方法もあります。身体の大きい患者さんの場合は、平行移動の方が小さな負担で介助できるためオススメです。
【まとめ】
・患者さんの身体状況を把握し、環境設定を事前に想定して実施しましょう。
・麻痺側に寄り添うように介助し、姿勢が崩れないように移乗させましょう。