
視覚障害のある患者は、環境の変化や障害物の認識が難しく、転倒・転落のリスクが高いです。元々障害をもつ患者だけでなく、手術や検査により一時的に片目で過ごしていたり、視覚障害が起こっているような患者も同様です。特に入院などで慣れない環境で過ごすときは、重大な事故につながる可能性があります。どのようなリスクがあるのか、危険予知をしっかりと考え、適切な対策を講じることが重要です。
1. 転倒アセスメントの実施

患者には、定期的な転倒リスク評価を行い、適切な対策を行う必要があります。患者の状態が変わったときは適宜アセスメントすることが重要です。
・普段はどのように過ごしているのか
・手術や検査が視覚に影響する場合、どのような経過になるか
・過去に転倒歴があるか
・筋力は問題ないか、可動域制限や神経障害などはないか
・患者のキャラクターはどうか
患者1人1人に応じた対策を取ることが効果的です。
2. 環境整備の徹底
視覚障害のある患者が安全に生活できるよう、環境を整えることが基本です。
・障害物を排除する
コード類やカート、不要な荷物は廊下や病室内から撤去します。そして水濡れや段差がないかも注意して環境整備を行います。
・手すりの設置と活用
病室やトイレ、廊下の手すりを適宜案内し、利用を促します。病院では相部屋などの場合、他の患者と接触する可能性があります。そのようなリスクを軽減するためにも、手すりのある端を歩けるように、誘導します。
・ベッド周囲の整理
サイドテーブルや椅子の位置を一定に保ち、患者が把握しやすいようにします。室内を極力シンプルに整理整頓し、必ず患者と共に物品の位置を決め、確認することが大切です。
3. 患者への声かけの工夫

視覚障害のある患者には、環境の変化や行動の際に適切な声かけを行い、安全を確保します。
・移動時のサポート
「右に曲がります」「目の前に手すりがあります」など、具体的な言葉で誘導します。
・物品の位置を伝える
「ナースコールは右手のそばにあります」「飲み物はテーブルの左側に置いてあります」など、位置を正確に伝えることが重要です。
・行動前の説明
ベッドを起こす、車いすを動かす、身体に触れるなど様々な場面で事前に伝え、患者に不安感を与えないように注意しましょう。
【まとめ】
- ・もともと障害のある患者だけでなく、手術や検査などに伴う、視覚の変化に対しても対策が必要。
- ・患者と一緒に環境整備を行い、患者の過ごしやすい環境を作る。
- ・介助するときや移動時など、事前に1つ1つ丁寧に声掛けを行い、不安の軽減に努める。