「手袋の上からもう一枚手袋しておけば、次の患者さんのケアに入るのに脱ぐだけで早くて、時短になる」なんて思ってませんか?
手袋を重ねて装着しケアをした後、外側の手袋だけを外して、次の患者さんのケアに入るのは実はNGって知ってますか?根拠のあるNGのその理由、説明していきます。
手袋の役割は?

手袋の役割をまずは手袋を装着してケアをする目的をきちんと理解していますか?確認していきましょう。
①血液や体液などによる感染・汚染リスクから医療従事者を守る。
②医療従事者の手指に付着した微生物から患者を守る。
③患者などからの微生物で汚染された医療従事者の手指が、他の患者へ病原体を伝搬させるリスクを減らす。
二重手袋がダメな理由
二重手袋がダメな理由は手袋の本来の役割を果たせないからです。以下の3つのリスクがあります。
1.ピンホールのリスク

手袋のピンホールは、一定の検査水準などにより、許容できる不良品率が定められています。つまり、未使用のディスポ手袋であっても、一定の割合でピンホールなどの不良品が含まれているということです。手袋に生じたピンホールを通じて、細菌が通過することが報告されています。
2.汚染のリスク
2重手袋をしていて、1枚目(外側)の手袋を外す際に1枚目の手袋の汚染が2枚目(内側)の手袋に付着します。
3.効果のなさと劣化のリスク

2重手袋で1枚目のピンホールや外すことによる汚染が生じるから、2重手袋がだめならば
1枚目(外側)を外した段階で2枚目(内側)の上から手指消毒をすればよいのでしょうか?じつはコレもNGです。理由として
①手袋の上からの手指消毒はシワの部分に汚染部が残りやすい。
②手袋の上からの手指消毒の効果が証明されていない。
③手袋劣化のリスクがある。
2重手袋が推奨される場面もある
ここまで説明してきた「二重手袋NG」は一枚目(外側)を外して、二枚目(内側)で次のケアに入ることを示してきました。一方で摘便など手袋破損のリスクが高い処置などでは、二重手袋で処置を行い、万が一外側の手袋が破損されても、内側の手袋で守ることができる状況が必要です。この際にくれぐれも、肉眼的に汚染や破損がないからと、二枚目(内側)の手袋で次のケアに入らないことが重要です。必要に応じて、二重手袋にした際は、必ずケアや処置終了時に二枚とも手袋を脱ぎ、きちんと手指消毒をすることが重要です。
【まとめ】
- ・手袋は医療従事者、患者、患者間の感染から守る大事なアイテム。
- ・一定の割合でピンホールのある手袋が混入している。ピンホールは微生物が通過できる。
- ・1枚目(外側)の手袋を外す際に2枚目(内側)の手袋が汚染される。
- ・手袋の上からの手指消毒は手袋劣化のリスクがあるだけでなく、効果が証明されていない。
- ・破損のリスク高い処置は二重手袋で行い、二枚とも外したうえで手指消毒をおこなう。