血圧低下時に下肢挙上は有効?エビデンスに基づく正しい初期対応

観察・患者対応
2026.09.13
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血圧が低下したときに、下肢を挙上して対応したことはありませんか。院内をラウンドしていると、終末期の患者さんに対して下肢挙上が行われている場面を見かけることがあります。しかし、下肢挙上による循環補助効果はあくまで一時的な応急処置です。病態によっては十分な効果が得られず、注意が必要なケースもあります。この記事では、下肢挙上の目的やエビデンス、血圧低下時の正しい初期対応について解説します。

1. 下肢挙上の目的とメカニズム

下肢を挙上すると、重力によって下肢の静脈血が心臓に戻り、静脈還流量が増加します。その結果、一時的に心拍出量が増え、脳への血流を維持する効果が期待されます。つまり下肢挙上の目的は、血圧を持続的に上昇させることではなく、一時的に循環を補助し、脳血流の維持です。採血時の迷走神経反射や血圧低下を伴う失神、透析中の低血圧などに対する応急処置として用いられます。「血圧低下=下肢挙上で対応」とだけ覚えていてはダメです。状況に応じて使い分ける必要があります。

2. 下肢挙上だけでは不十分?病態に応じた対応が必要

下肢挙上による脳血流の維持は一時的なため、血圧低下の原因によっては十分な改善が得られない場合があります。また、病態によっては注意が必要です。透析患者さんでは、末梢動脈疾患を合併している場合もあり、下肢循環の状態によっては注意が必要です。さらに、心不全など循環負荷に注意が必要な患者では、呼吸状態や全身状態を観察しながら行います。

下肢挙上の効果は一時的であり、血圧低下の原因そのものを改善するものではありません。下肢挙上だけで対応を終えるのではなく、患者さんのそばを離れずにショック状態かどうかを観察し、原因を考えながら適切に対応しましょう。

3. 血圧低下時の正しい対応

①ショック状態かどうかを確認する

まずは患者さんのそばに行き、意識状態や顔色、呼吸状態を確認しましょう。会話が可能で、顔色や呼吸状態に大きな異常がない場合でも、経過観察を行いながら血圧低下の原因を評価することが重要です。ショック状態かどうかは、ショックの5P(蒼白、虚脱、冷汗、脈拍不触、呼吸不全)の兆候がないかを確認するとよいでしょう。あわせて、バイタルサイン(脈拍、呼吸数、SpO2、意識状態など)を確認して評価します。

②一時的な血圧低下では、ベッドをフラットにする、または下肢を挙上して安静にする

採血時や排便時などに起こる迷走神経反射や、急に立ち上がったときの起立性低血圧など、一時的な血圧低下に対しては、下肢挙上や仰臥位による一時的対応をします。足を上げることで、気分不良やめまいの改善が期待できます。

③足を上げながら血圧低下の原因を探る

安静にしている間に、血圧が下がった原因をアセスメントしましょう。降圧薬を内服した直後か、脱水気味になっていないか、室温が高すぎないか、低血糖を起こしていないかなどを考えます。

④原因に応じた対応と医師への報告

原因に応じた対応を行い、必要に応じて医師へ報告します。血圧低下時の症状やバイタルサイン、考えられる原因を医師へ共有し、再発予防につなげましょう。 

まとめ

・下肢挙上は、脳血流を一時的に維持するための応急処置である。

・下肢挙上による血圧上昇効果は一時的で、根本的な改善にはならない。

・下肢挙上中も、ショックの5Pやバイタルサインを確認し、血圧低下の原因をアセスメントする。

・血圧低下時は「とりあえず足を上げる」のではなく、病態に応じた対応が重要である。

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