麻疹の感染対策について、正しく理解できていますか?麻疹が空気感染することは知っていても、実際に患者さんが受診したとき「自分も感染するのでは」と不安に感じることもあるでしょう。感染管理認定看護師として感染に関わる立場からも、麻疹は日頃から備えておきたい感染症の一つです。この記事では、麻疹の感染経路と感染対策について分かりやすく解説します。
1. 麻疹はなぜ感染力が強いのか

麻疹ウイルスには、感染力が強い3つの特徴があります。
1つ目は、上気道の粘膜で大量に増殖する点です。感染すると、くしゃみや鼻水、軽い咳でも大量のウイルスが周囲に放出されます。日常会話やわずかな咳でも、感染が広がりやすい特徴があります。
2つ目は、少量のウイルスでも感染が成立しやすい点です。免疫を持たない人は、麻疹ウイルスに対する感受性が非常に高く、空気中に漂うわずかなウイルスを吸い込んだだけでも感染する可能性があります。
3つ目は、空気中でも一定時間感染力を保つことです。患者さんがその場を離れた後も、約2時間は空気中で感染力を保つとされています。
麻疹は、免疫を持たない集団では、1人の患者さんから多くの人へ感染が広がる感染症です。そのため、麻疹患者さんが発生した際には、迅速な感染対策が重要です。
2. 麻疹の3つの感染経路

麻疹は主に次の3つの経路で感染します。
① 空気感染
麻疹ウイルスを含む微細な粒子(エアロゾル)を吸い込むことで感染します。患者さんと直接接触していなくても、同じ空間にいるだけで感染する可能性があります。
② 飛沫感染
麻疹ウイルスは上気道で増殖するため、咳やくしゃみ、会話で飛散した飛沫を吸い込むことで感染します。
③ 接触感染
患者さんや汚染された環境に触れた手を介して、目や鼻、口などの粘膜に触れることで感染する可能性があります。ただし、麻疹で最も重要な感染経路は空気感染です。感染対策を行う際は、まず空気感染への対応を優先して考える必要があります。
3. 麻疹の感染対策

① 標準予防策と空気予防策
麻疹が疑われる患者さんを診療する場合は、速やかに他の人との接触を避け、陰圧個室で管理することが基本です。陰圧個室がない場合は個室で対応し、十分な換気を行います。医療従事者は標準予防策に加えて空気予防策を実施し、施設の感染対策マニュアルに従ってN95マスクなど適切な個人防護具を着用しましょう。
②ワクチン接種
麻疹の最も有効な予防法はワクチン接種です。日本では麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が推奨されています。また、免疫がない人が患者さんと接触した場合でも、接触後72時間以内のワクチン接種で発症を予防できる可能性があります。
実際に麻疹が疑われる患者さんの対応では、自分に免疫はあるのかと慌ててしまいがちです。いざという時に落ち着いて対応できるよう、まずは自分の抗体価やワクチン接種歴を確認しましょう。
まとめ
・麻疹は空気感染・飛沫感染・接触感染で広がりますが、特に空気感染への対策が重要です。
・上気道で大量に増殖し、少量のウイルスでも感染が成立しやすく、空気中でも一定時間感染力を保つため、非常に感染力が強い感染症です。
・麻疹が疑われる場合は空気予防策を実施し、日頃から抗体価やワクチン接種歴を確認して備えておきましょう。



