術後初回歩行では「どこまで歩けたか」に目が向きがちです。しかし距離より大切なのは、患者さんが安全に歩行できること。無理をすると、ふらついたり、力が入らなくなったりする可能性があります。この記事では、患者さんの余力を見極めながら初回歩行を進めるために、立ち上がる前から確認したい3つのポイントを解説します。
※初回離床の基本的な流れは、こちらの記事でも紹介しています。
関連記事:「術後の安全な初回離床のための5つのポイント」
1. ベッドアップは段階的に行う

一気に身体を起こすと、急な血圧変動でめまいや気分不良を起こすことがあります。そのため、少しずつベッドを上げながら、顔色、表情、受け答え、めまい、悪心などの反応を確認していきましょう。角度を一段階上げるごとに患者さんの反応を確認すると、変化に気づきやすくなります。部署によっては、離床の手順がマニュアル化されている場合もあるため、マニュアルに沿って安全に進めましょう。
2. 端座位で「立てるか」を見極める

ベッドから足を下ろしたら、すぐに立たせず端座位を保ちます。端座位は、立位へ進む前に患者さんの状態を確認できる大切なタイミングです。姿勢の傾きやふらつき、ベッド柵を握る力の強さ、足底がしっかり床についているかを確認しましょう。端座位を保ちながら症状の出現がないか経過を観察し、歩行に進めるかどうか判断します。ここで不安定さが見られれば、無理に歩行へ進めず、いったん臥床に戻る判断も大切です。
3. 数値と患者さんの様子を合わせて判断する

血圧などの数値に大きな変化がなくても、めまいや悪心、顔面蒼白、冷汗などの症状が現れることがあります。また、患者さんは「早く歩けるようになりたい」「歩けないと言うのが恥ずかしい」という気持ちから、無理をして「大丈夫です」と答えてしまうこともあります。患者さんの言葉だけを信じるのではなく、数値と見た目の変化を合わせて総合的に判断する視点を持ちましょう。
患者さんがこうした気持ちを抱きやすい理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:「術後の初回離床で患者さんが感じやすい5つの不安とケアのポイント」
初回歩行は、結果よりも「安全に進められたか」が大切です。焦って歩かせようとするのではなく、ベッドアップ・端座位・立位というひとつひとつの段階で立ち止まり、確認する習慣を持ちましょう。
なお、離床の中止判断について、看護師国家試験でも出題されています。
関連記事:「【看護師国家試験第114回 術後患者の離床の判断指標】術後離床について考えよう」
まとめ
・ベッドアップは一気に行わず、段階的に角度を上げながら、顔色・表情・受け答え・めまい・悪心を確認する。
・端座位になったらすぐに立たせず、ふらつきや姿勢、ベッド柵を握る力、足底の接地状態を観察する。
・血圧などの数値だけでなく、めまいや悪心、顔面蒼白・冷汗など、患者さんの言葉を合わせて判断する。
・不安定さがあれば無理に歩行を進めず、安全を優先して中止する。



